介護休暇は要介護者が身内にいる人にとってありがたい制度ですが、まだまだ利用率が低いという課題があります。なぜ利用する人が少ないのか、その原因を見ていきましょう。
2019年に行われた意識調査によると、40代以上の男女でこれまで介護をした経験のある人のうち、肉親などの介護に際して勤め先である会社に相談したことのある人は、全体の23%しかいないことが分かりました。加えて、介護保険や介護休業、そして介護休暇などの制度を知っていた人は全体の半数以下しかいなかったのです。中でも、介護休業や介護休暇を知っていたのは5%以下と非常に低い数字でした。これらの制度のいずれかを使ったことがない人は6割近くもいて、制度を利用できないだけでなく制度そのものを知らない人が多いことが判明したのです。そのため、まずはこれらの制度を広く周知する必要があります。
では、制度を知っているのに利用していない人にはどのような理由あるのでしょうか。調査によると、制度を利用していない人のうち、「会社に制度があるにもかかわらず利用していない人」が30%もいることが分かっています。制度を利用していない理由として最も多いのは、「今後、今よりも制度が必要な時期がくるかもしれないから」です。その次に多いのが、「仕事が忙しくて休めないから」「今後のキャリアに影響があるかもしれないから」という理由です。また、「制度を利用するのが職場に申し訳ないから」「取得するタイミングが分からないから」といった理由もあります。このことからも分かるように、会社や仕事の都合が原因で取得できない人が多いようです。
上記のように、介護休暇などの支援制度があってもそれを活用できている人は非常に少ないことが分かりました。また、その理由は会社や仕事がらみであることも分かっています。しかし、介護支援制度は労働者に与えられる正当な権利です。会社側にとっても、制度の利用率低下は貴重な人材の介護離職を招く要因となるため積極的に活用してもらうべきです。
介護離職による人材流出防止のために求められるのは、「施設などの利用」「周囲への相談」「分担介護」です。この3つに共通しているのは、介護支援制度の活用がなければ達成が困難という点です。例えば、施設を探すためにはある程度の準備期間が必要であり、そのためには休暇が必要です。制度の普及と活用を促すことが仕事と介護の両立には不可欠であり、会社側は労働者が制度を利用しても問題のない状況を作っておかなければならないのです。以下に調査結果を掲載しているページを紹介しますので参考にしてください。
介護支援制度の利用率や介護離職の実態について、詳しいデータがまとめられています。 |